真泊津波避難階段に上がって、気が付いたこと、感じたこと。
階段寸法
階段は安全性などを考慮し、建築基準法によって建物の用途や規模により、階段幅、踏み面、蹴上げの寸法が決められています。
A:階段幅とは「階段の横幅」のことで、広ければ広いほど多くの人がすれ違いができるため、公共の建物など大勢で使う階段の幅は広く設定します。
B:踏み面とは「階段の上面(足で踏む板)の奥行寸法」で、この寸法が大きい方が足をのせた時に安定しますが、奥行きがありすぎるとそれだけ大股で上り下りすることになります。
C:蹴上げとは「階段の1段の高さ寸法」で、高すぎると上り下りがきつくなりますが低すぎても、使い難い階段になります。
真泊津波避難階段は
A:階段幅=1.5メートル
B:踏み面=30センチ
C:蹴上=15センチ
であり、一番規制が厳しい小学校の児童用階段並みです。
参考
建築基準法施行令 第2章3節 第23条
階段及びその踊場の幅並びに階段のけあげ及び踏面の寸法
http://best.life.coocan.jp/k-rei/rei02/03/rei_023.html
有効幅と歩行の障害物
階段の幅は、島草履5.5足分
28cm/1島草履ですので、幅約1.5メートルです。
階段を上る時、健康で体力のある方は走りぬけたり、速足で上っていきます。1名ですと通常真ん中を通ると思われがちですが、必ずしも真ん中を通るとは限りません。階段幅の中で左右にずれたり、カーブを曲がる時は内側に寄ったりします。
津波発生時は、避難する人が階段に殺到し、急いで上ると考えられます。その時2名が並んで上ることが想定さtれます。(1メートル以上ですと並走できます)
また歩行に難ある人を、手助けがしながら上る場合も2名で並んで上ります。手助は必要でないけど、高齢者などが階段を上がる場合はどうするでしょうか。手すりを伝わって上るでしょう。
真泊の階段は、端から、島草履0.7足分(約20センチ)に、杭を模倣した造作物が左右に下から頂上まで設けられています。
階段の端に寄って上ると、この”杭もどき”に足が引っ掛かります。
避難階段は安全に短時間に高台へ避難することが目的です。
先ほどの”杭もどき”は安全に避難することを阻害し、階段の有効幅を150センチから110センチに約3割減少させます。
踊り場
踊場については建築基準法で次のように決められています。
踊場の位置及び踏幅
前条第1項の表の(1)又は(2)に該当する階段でその高さが3mをこえるものにあつては高さ3m以内ごとに、その他の階段でその高さが4mをこえるものにあつては高さ4m以内ごとに踊場を設けなければならない。
2 前項の規定によつて設ける直階段の踊場の踏幅は、1.2m以上としなければならない。
建築基準法施行令 第2章3節 第24条より
真泊津波避難階段は図面がないため正確にはわかりませんが、概ね4メートル以内に設けられているようです。
手すり
手すりの高さは、身長・身体機能にもよりますが、腕を真っ直ぐ下した状態で手首の位置を目安にしています。通常床から75~85センチの範囲が多くなります。
真泊津波避難階段は、上下2段となっていて、高さは60センチと80センチです。子供から大人に配慮されています。
手すりの先端は衣類が引っかからないような形状が望まれます。
真泊津波避難階段では、手すり先端は下向きとであり、配慮されています。
しかし、一か所このように出っ張って引っかかる先端形状となっております。
緊急時に使用する階段ですので危険です。
連続手すりとなっていますが、施工されていない箇所があります。
*追記 2015/11/5
10月30日撮影 11月1日確認
25日撮影と違う箇所がありました。
2段あった手すりの下の段がなくなっています。
取り付け穴は残っていますが、手すりはありません
3つ上の写真と比べてください。先端金具もなく切りっぱなしです
真泊のHさんが
「28日はあった。今日見たらなかったよ。」
といっていました。
*追記 2015/11/23
11月に取り外されていた手すりが、設置されていました。
2015/11/23撮影
防護柵
防護柵には外部からの落石、土石流のような自然物や、いのしし等動物、人(防犯)の侵入を防ぎます。
また逆に、外部への人の転落、物の落下を防ぐという2つの目的があります。
頂上近くのかなり高い地点 階段海側に防護柵がありません。
防護柵は必要ではないでしょうか?
照明
津波はいつ起こるかわかりません。夜間に発生した場合は、避難階段のある山中は真っ暗です。
必要な照明として
1:電力による街灯
2:ソーラー街灯
災害時は停電の可能性が高い。
が考えられますが、1、2の併用が望ましいとおもわれます。
安全に階段を上るためには、階段の一段一段を分からせないと踏み外します。一段一段を分からせるためには街灯だけでは不明瞭です。高輝度蓄光プレート付き階段とする等の処置が必要です。
http://www.washin-kogyo.co.jp/hinan.html
避難時間
実際に上った人の意見です。
「休み休み行かなければいけないので15分はかかる」
「カーの上(約1/3)くらいで疲れて上れない」
津波発生から到達までどのくらいを想定しているのでしょうか?
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